學士後醫學系四年級 呂美慧 日本東京順天堂大學附設順天堂醫院 研修心得報告

研習期間: 2010.7.7~2010.8.13

研習學生:學士後醫學系四年級 呂美慧

研習地點:日本東京順天堂大學附設順天堂醫院

研習類別:學海築夢

心得報告

前書き
今回、順天堂大学腎臓内科における四週間の臨床実習は7月12日に大澤勲先生のオリオンテーショーンから正式に開始致しました。私と温さんは浅沼先生のグループに分けて頂き、鈴木日和先生と苑田祐二先生と遠藤健二先生(R2)と一緒に病棟実習を行いました。実習内容を、患者さんとの触れ合い、私から見た日本の研修医、連携病院での見学、日本語での臨床実習、高雄医学大学の医学教育など、五つの部分に分けて記述します。
一、患者さんとの触れ合い
日本人といえば、優しく礼儀正しい行動を重視し、真面目に仕事を遂行し、残業するのが好きだというイメージが強いです。医療現場における相応しい医師の性格はこれが丁度いいかなあと思いつつ、一体皆はどうやって医療を行っているかなかなか想像が付きませんでした。今回の実習によって、やっと自ら体験できました。日本の入院患者さんは、病院側が全ての世話を担当するので、家族がいなくても安心して入院できます。患者さんが処置を受けるとき、医師達は家族のように傍にいてくれることによって、患者さんも安心できます。私のグループのある患者さんがシャントオペを受けるとき、一旦寝付くとすぐ動き出すので、研修医の遠藤先生が始終話しかけているお陰で、主刀者の井尾先生が無事にオペを終了できます。患者が医師を信用できるので、自分自身のことを先生に任せられ、医師グループも家族のように患者と一緒に病と闘っています。血液透析の際に、針を刺す時、あの痛みを自ら感じられるように何度も「ごめんね」と言います。医療処置は医師達三人か四人と話し合ってから行い、研修医が困っているとき、すぐ傍に助けてくれる人がいます。こうしたチームワークを見てとても感動しました。


二、私から見た日本の研修医
     日本の医療システムでは医師免許を取ってから、二年の研修医を行います。名札に研修医と書いてあり、若手医師だとすぐ見分けられます。研修医の仕事は主にベテランの医師の指導に従って指示を出したり、静脈注射をしたり、温度板を書いたり、電子カルテを書き込むことです。カンファレンスの時、研修医は交替で、最近見ている患者さんに関する論文をまとめて発表します。新しい患者さんが入院すると、グループのメンバーと一緒に患者さんを診てから治療方針を考えます。台湾のInternかResidentだと、一人で患者に関する全ての責任を負い、Internはまったくの若手医師ですが、患者を一人から十人ぐらい担当し、Residentは経験を問わず十人以上の患者を担当しなければなりません。主治医は毎日一回か二回の回診で、担当医はその場で患者の病状を主治医に報告し、主治医がコメントをします。若手医者にとって、まだ能力を伴っていないのに、重い責任を負われることによって、より速く一人前の医師になれると思っている方も少なくないでしょう。ただし、こうして能力以上の責任を負うことは患者にとって良いこととは思いません。医療現場で先輩がいてくれることは大切だと思っている私は、日本の研修制度を見て、患者と研修医の両方とも幸せだと思いました。一人の患者さんには三人ぐらいの担当医がいて、兼科の患者さんの場合には、一日に七人以上の医師達に会えるこ

とによって、安心できることでしょう。研修医が処置を行うとき、先にグループのベテラン医師と検討することによって、ミスは少なくなるでしょう。


三、連携病院での見学
     今回、一ヶ月間の臨床実習は順天堂大学腎臓内科で主に行うことでしたが、せっかく日本に来て、他の連携病院でも見学させて頂きたいと富野先生に申し上げ、江東高齢者センター一日と練馬病院一日と静岡病院二日間を見学することができました。また、望星田無クリニックにも行くことができ、高雄医学大学の大先輩である福井先生に会うことができました。そこで始めて中央管理式の透析設備を見て、そして、とてもおいしい透析弁当を食べさせて頂きました。


江東高齢者センターは、東京都が作った施設で、七階の医局で船曳先生と会う時、目にした医局の光景は大手ビジネス会社のオフィスと間違う気持ちになりそうです。病院全体の広さは順天堂病院の三~四倍以上で、リハビリセンターも高級なジムとそっくり、五つ星のホテルと言っても過言ではないと思います。メンタルクリニックでは、認知症にかかってる患者さんしか泊められないのですが、やや羨ましい気持ちでした。高齢者向けなので、産科と小児科はありません。リハビリセンターを案内して下さった井上先生の話によると、高齢者センターと呼ぶせいか、殆どの科が揃っていても、若者はあまり来院しません。そして、政府の保険制度が変わったため、ある医療機器は使えば使うほど病院経営に損を生じることがあり、結局置きっぱなしになったそうです。日本の病院も国家の政策によって手足が縛られることに初めて気付きました。


練馬病院は、より小型の病院ですが、正面玄関から入ったら、綺麗なレストレンがあり、病に苦しんでいる患者さんがこれを見れば、早く治りたい気持ちになることでしょう。この病院は五年前から運営し始めたので、設備はかなり新しく、カルテも既に電子化になっています。前田先生はカルテ管理室まで案内して下さって、ロボットコントロール室そっくりの機器を見て、随分ハイテクな雰囲気が漂っていました。


     静岡病院では救命救急センターの見学に行きました。この病院の救命救急センターはドクターヘリの設置が特徴で、平成19年から運航し始めました。私達は台湾でコードブルーというドラマに魅了され、一度だけでもぜひドクターヘリを見てみたいと思っていました。私達のことを案内して下さった卯津羅先生は、脳外科医で四年前にアメリカへ留学され、ドクターヘリの救命救急を勉強し、二年前からセンター長として静岡病院に派遣されました。一日目の見学では、ヘリが四回出動し、そのうちの一回は屋上まで行き、ヘリから患者さんを下ろすところを見学させて頂き、自分がドラマの中のシーンにいるような夢を実感しました。見学の最中、右肩関節脱臼の患者さんがいて、人手不足でしたので、私はある先生に呼ばれ、患者さんの腕を押さえることを手伝いました。医療現場で自分が役に立つことは、私にとって一番満足できることです。救命救急に来る患者さんは多種多様で、いろいろな病気を勉強できるところなので、二日間の研修はちょっと短いなあと思いました。

四、日本語での臨床実習
     今回臨床実習のプログラムでは、日本語がとても大切だと富野先生に指導いただいたため、日本語ができない希望者が何人もいるのですが、日本語ができる人が優先と決まりました。しかし、日本語できるといっても皆のレベルはばらばらで、しかも医学用語はさすがに日本語の先生も教えられないので、どうやって病院で使える日本語を学ぶか、頭を絞っていろんな方法を考えてきました。私は八年間も日本語を勉強し、その間に夏休みと冬休みを利用して日本語学校を通ったこともあり、日常会話は普通に話せるのですが、他の人は二年か四年だけ日本語を勉強してきたにもかかわらず、十分に聞き取れていたのはとても凄いと思っていました。日本語ができるメリットは、日本の医師が考え、議論していることを理解し、飲み会や交流の時、英語力に関わらず、誰にでも簡単に話しかけることでした。ただし、外国人である私がどうして日本語を流暢に話せるのかとよく聞かれます。しかし、自分が知らない単語がたくさんあり、まだまだ語学力が足りないとわかって、褒められることより、むしろ指摘される方が、私の日本語力のレベルが伸びるのではないかと思いました。

五、高雄医学大学の医学生教育
順天堂大学の医学生は、クルズス、教授回診、医局会。オペー、腎生検などの行事には参加し、他の時間帯は図書館で勉強したり、レポートを書いたりしていると聞きました。台湾の医学生は日本の医学生と違って、主治医(Visiting Staff, VS)を中心に、回診する時必ず一緒に行き、主治医がいない時、ResidentかInternと一緒に行動する形です。グループの医師が処置をする時に呼んでもらいますが、病院専用の携帯を持ってないので、なるべくステーションの隣にあるカンファレンスルームにいなければなりません。普段、朝7時か7時半からモーニングミーティングがあります。ベテラン(R4かR5のChief Resident, CR)の医師が会議の司会者をし、患者さんの主訴から問題点まで、一人ずつ突っ込んで質問をされ、医学生から、七年目のIntern、R1の医師という順番に質問されます。朝からの震撼教育ですが、教科書を調べながら答えてもいいと言われてるので、恥ずかしながらも一所懸命答えを探し出します。七年目のInternは、日本の一年目の研修医とほぼ同等ですが、

医師免許を持っていないため、問題を起こしたら、法律的にはややこしいことになる例もありました。それが原因か、2011年から台湾は日本と同じ六年医療教育を行う予定で、二年の研修医システムも一緒に導入するようです。2011年からの卒業生は皆二年間の研修医をやらないといけないという状況になり、医学生の中には、一人前の医師になるまでには、また一年長引くと思っている人も少なくないでしょう。

まとめ
     今回の臨床実習では、順天堂大学の先生方にお世話になり、未熟な医学生ながらもそれ以上のもてなしを頂き、誠に恐れ入ります。高雄医学大学へいらっしゃった先生方が多いお陰で、よりいっそう親しい雰囲気で腎臓内科のスタッフと触れ合うことができ、心から感謝致します。医学生としては病院のためにできることは少ないかもしれませんが、今回の実習は私にとって、とても貴重な経験になり、将来もし台湾で順天堂大学の学生や先生方に会うことで、より深い交流ができると思います。

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